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RPA導入事例株式会社ニッセン

RPA成功の秘訣は
「運用管理」と「サポート」にある!
コールセンターにRPAを
導入し年5,000時間の
作業を自動化

働き方改革の取り組みが進み、業務の効率化や生産性の向上はあらゆる企業の使命となった。その手段の1つとして注目されているのがRPA(Robotic Process Automation :ロボティック・プロセス・オートメーション)だ。パソコンで行ってきた単純作業をロボットが代行し、人間よりも早く正確に処理できるようになるソリューションである。残業をなくすことができるし、人間の能力をよりクリエイティブな方面に生かすことが可能となる。
これら効果が期待され、導入が活発に進められているものの、運用で頓挫している企業が多い。「開発が簡単ではなかった」「エラーが多くて使い物にならない」「担当者が異動して野放しになった」…という具合だ。ベンダー側が「ノンプログラミングで誰でもロボットを作成できる」とあおり立てていることも要因にある。
こうした中、通販大手の株式会社ニッセンはコールセンターにRPAを導入し、残業を大幅に削減する顕著な成功を収めている。その秘訣を探った。

株式会社ニッセン
ソリューションサービス本部
テレマーケティンクサービス部 部長
田川 陽一朗氏

法人向けビジネスサポートを
充実させているニッセン

婦人服を中心とした衣料品やインテリア雑貨など通販大手として知られるニッセン。通信販売の歴史は50年ほどに及び、長くリーディングカンパニーとして業界を牽引してきた。一方で同社は、早くから法人企業向けのビジネス支援を手がけ、事業として順次拡大している。

「当社が持つ3,000万人超の顧客データベースや自社が通販事業を営んできたリソースを活用し、主に通信販売企業を中心に法人支援事業をしています。
現在は、大きく「広告、電話、物流、決済」の4つのサービスを展開。それぞれのサービスにおいて、自社で通販を運営してきたノウハウを絡めた取り組みを行い、現在1,500社超の企業様とお取引きをさせていただいています」(田川氏)。

株式会社ニッセン
ソリューションサービス本部
テレマーケティンクサービス部
RPA推進チーム
マネージャー
日野 伸隆氏

働き方改革の一環で
残業削減に挑戦

ニッセンがRPAに興味を示した背景には「働き方改革」がある。
2016年から17年にかけて、政府の主導で働き方改革が提唱されるようになった。業務の生産性を向上することにより、従業員の過労や残業を軽減するものである。企業にとっても大きなメリットがあることから、同社でも会社をあげて取り組みを本格化した。
テレマーケティングサービス部には60名のSVがおり、特にクライアントへの報告・納品業務の負荷が大きく、残業過多となっていた。それを軽減するために検討を進めた手段の1つにRPAがあった。
「ちょうどこの時期にRPAが大きな話題となり、そのメリットがうたわれるようになっていました。これは検討する価値があるなと思い、いつくかのベンダーに相談を持ちかけました」と田川氏は振り返る。

スピード感とアセスメントで
イノベーションネクスト(現:CRドットアイ)に依頼

その1社に株式会社イノベーションネクスト(現:CRドットアイ)があった。イノベーションネクスト(現:CRドットアイ)では、自社製品の紹介と同時にRPAに適した業務はどの程度あるのか、導入することでどれだけの効果をあげることができるかを評価するアセスメントを提案した。
「他のベンダーとはスピード感が違いました。コールセンターシステムを構築していたころから、常に私たちと同じ目線で話し働いてくれました」(田川氏)。
ニッセンではイノベーションネクスト(現:CRドットアイ)の提案を受け入れ、アセスメントに協力。これが2017年10月のことである。2カ月のヒヤリングと調査で、RPAの効果を期待できるとして、社内複数部門の候補から2業務に絞り込み、さらにスーパーバイザーによるお客様企業への「日報・納品データ作成業務」に決定した。規模が大きくスーパーバイザーの残業の要因となっていた作業である。
この対応が認められ、翌2018年2月に受注が決定し、プロジェクトチームが発足、システムの構築に着手していく。

手作業による集計業務を
ロボット化

RPA化の対象となったのは「テレマーケティング」部門で、架電結果、受注データ、顧客データの修正依頼など、発注元のクライアントへの納品・報告業務。
国内に5ヵ所あるコールセンターは9時-21時までの2交代制を敷いているが、21時までは実作業を行うため、報告・納品業務は、どうしても残業して対応することとなる。
業務内容はリスト種別毎に集計し、範囲も多岐に渡るため、一部マクロなどを活用して効率化を図っていたが、それ以上に踏み込んだ効率改善が必要な状況となっていた。

計5人のプロジェクトチームで
構築開始

ニッセンRPA化のプロジェクトチームはイノベーションネクスト(現:CRドットアイ)から3人、ニッセン側からは日野氏を含む2人の計5人。プロジェクトリーダーは日野氏が務めた。開発はイノベーションネクスト(現:CRドットアイ)が主体になるが、開発と運用のノウハウをニッセンに提供し、指導を重ねていった。
2018年3月からテスト運用を開始し、本格稼働は4月から徐々にスタートした。この期間はイノベーションネクスト(現:CRドットアイ)がニッセンに常駐しており、万全のサポートを提供。その後、安定稼働を確認しながら、自律での運用を目指してもらうため、徐々に関与を弱めていった。数カ月で遠隔サポートの運用となり、対応が必要な事案が発生すればすぐに駆け付ける保守体制に切り替えた。
1年ほどの運用で「日報納品」のロボット化はほぼ完了した。「全部で60体ほどのロボットを開発しました。数が多いように見えますが、本来なら1本で済むプログラムを、いざというときのために数本に分けて備えているケースもあります」と、日野氏は説明する。
ロボットは21時のセンターのコール業務終了と同時に自動的に開始され、夜間働いてお客様に納品される。しかし翌日の朝に、ロボットがなんらかのエラーで停止していることがある。朝の再実行時の負荷軽減・リスク分散のために数本に分けて、実行状況を逐一確認できるようにしている。

年間で約5,000時間の
残業を削減

RPA導入で目に見える最大の効果は、残業時間の削減である。「23時ぐらいまでの残業が多く、場合によっては終電ということもありました。すでに終電間際ということはまったくなくなりました。スーパーバイザーが残業するケースは遅番になりますが、ここで1時間ほど。早番も均してみると、スーパーバイザー全員が日に30分ほどの削減になったのではないでしょうか。肌感覚では、導入してからみるみる減っていった感じがしています」と日野氏は笑顔を見せる。
「報告・納品業務は、トータルで月1,200時間以上の作業量でしたが、このうち400時間ほどをRPA化し、年間では約5,000時間の削減になると報告されています」と、田川氏も資料を確認しながら語る。
もちろん、スーパーバイザーの作業はアウトバウンドの集計・報告だけではない。インバウンドもある。単純な作業はロボット化して、人間でなければできない仕事に集中させている。
もう1つの大きなメリットにミスの撲滅がある。「人間の手作業ではミスを避けることができません。この点ロボットは正確に代行してくれます。これにも助かっています」(日野氏)。
報告業務が正確で早いこと。これは同社の競争力強化になる。お客様満足度はもちろん、従業員満足度の獲得にもつながる。
実際に、コールセンターではスーパーバイザーからの喜びの声が上がっている。

RPAの横展開と
専門部門の設置

同社成功の要因には「RPAの専任者を置いて、確実に運用を管理していることにあります」とイノベーションネクスト(現:CRドットアイ)の伊藤 恒嘉は分析する。
RPAの導入はちょっとした潮流となっているが、多くはメリットだけを鵜呑みにして、導入が目的になってしまう。その点ニッセン様では2人を専任とし、開発と運用管理をまかせた。
「通常RPAの担当者は従来の業務と兼務になってしまうことが多く、ロボットを管理する仕組みや体制が整っていない状態で走り出すことがほとんどです。開発者は誰で、運用者は誰か、などのルールも決まっていなければ、そのうち野良ロボットが誕生し、業務に支障をきたすリスクを伴います。その点、ニッセン様では責任の所在を明確にして、独自の管理方法でロボットを確実に制御していましたので、プロジェクトが軌道に乗る確信を持てました」と伊藤は評価する。
「このような組織のあり方も指導してもらいました。この面倒見のいいところが他社と違うところだと思います」と、ニッセンの田川氏もイノベーションネクスト(現:CRドットアイ)を評価する。
「実際不安なところや、わからないところがあると、親切に教えてくれますし、すぐに飛んできます。このスピード感は素晴らしいと思います。セキュリティソフトやOSのバージョンアップでエラーが出てしまうと、私たちでは対応できません」(日野氏)。
取り組みが社内でも評価され、現在の体制に更に増員し、新たに「RPA推進チーム」を発足させた。チームリーダーに就任したのは日野氏である。
「ロボットは毎日改良を重ねています。手間はかかりますが、そういうものではないかと思います。1年前まで私たちは完全に素人でした。それがこうして専任になれるのですから、ここにもRPAの魅力があると思います」と日野氏は微笑む。
コールセンターは労働集約産業である。働き手が少なくなっている今、CTIが導入され、さらに現在ではAIによるお客様対応に期待が寄せられている。これに加えてRPAが新たな戦力になろうとしている。

お客様プロフィール

  • 社名
    株式会社ニッセン
  • 本社
    本社・本店(本社オフィス)/〒601-8412 京都市南区西九条院町26番地
    吉祥院ビル/〒601-8381 京都市南区吉祥院西ノ茶屋町79番地
    御成門オフィス/〒105-0004 東京都港区新橋6丁目1番11号
  • 設立
    2007年6月21日
  • 代表者
    代表取締役社長 羽渕 淳
  • 資本金
    1億円(2018年2月28日現在)
  • 事業内容
    婦人服を中心とした衣料品、インテリア雑貨などのインターネット・カタログ通信販売
    ニッセンオンライン
    婦人服の店舗販売
    通販ノウハウを生かしたビジネスサポート、BtoB事業、BtoBサイト